【第38回】1円で集客するメルマガ術
POINT
『ソーシャルメディア(笑)』
『メルマガ1円集客法』
『ユニクロのあんパン』
『共感するネタは全国区』
『追伸、余談』
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■ソーシャルメディア(笑)
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3月19日の日経新聞朝刊の記事で、アジャイルメディア・ネットワーク社の徳力基彦代表が「企業のメディア化が進んでいる」と答えていました。ヤフーJAPANトップの世代交代と、ソーシャルメディアの台頭を重ね、企業が消費者に直接メッセージを届ける時代という記事に彩りを添えます。しかし、インターネットの普及期にさんざっぱら喧伝された懐かしい言葉に微苦笑が洩れます。
そもそもホームページは個人専用の表現チャネル、企業専属の広報媒体です。ソーシャルメディアという新しいメディアが誕生したのではなく、インターネットという媒体のなかに、ソーシャルメディアという名前のチャネルが増えただけに過ぎないのです。それは民放キー局がBSやCS、ケーブルテレビとチャネル増やすのとまったく同じ構図で、むしろ、むやみやたらとチャネルを増やしても肝心の「コンテンツ」を用意できなければ「視聴者離れ」がおこることに触れないのはフェアではありません。
ソーシャルメディアを否定しませんが、通販企業が優先的に力点を置くべきチャネルは「メルマガ」です。1円で集客できるチャネルは他にないからです。今回は実戦的メルマガ活用術を紹介します。
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■メルマガ1円集客法
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いわゆる「オプトイン規制」以降、メルマガを取り巻く環境は厳しくなりました。事前承諾が必要となり読者集めが困難となったことが大きな理由です。しかし、裏返せばいまのメルマガ読者は、メルマガ購読を承諾してくれたお客様で、
「行儀良く行列にならんでくれるお客」
といえます。一方、ツイッターやフェイスブックといった、ソーシャルメディアで集まるお客は、気が向いたときだけやってくる、
「列にならんでいないお客」
です。商売人としてどちらを優先するかは自明です。メルマガは読者集めがもっとも困難な作業ですが、見合うだけの効果を期待できます。一方、一定の読者数を持ちながら、販促効果を感じないという人もいます。それはメルマガが悪いのではなく、読者がサイトに来たくなる仕組みや、メルマガを読ませる工夫が欠けているのです。
まずはこちら。
「メルマガ読んで1ポイントゲット」
メルマガにポイント付与のリンクを用意し、クリックすれば1ポイントゲットできるようにします。1ポイント=1円なら1円で一押しの商品やイベントページに誘導できます。わずか1円でもメリットがあれば、反応率は飛躍的に良くなります。また、アクセス毎に1ポイントから100ポイントまで抽選で「当たる」仕組みにするといったイベントを用意するのも効果的です。メルマガに販促効果を感じないと不満を漏らす人は、こうしたサイトに訪問させる仕掛けを用意していないのです。
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■ユニクロのあんパン
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ユニクロは毎年創業祭の朝、行列にならんでくれたお客に感謝の印としてあんパンと牛乳を配ります。メルマガをお読みいただいている読者にポイント付与する心根はユニクロと同じです。また付与したポイントはメルマガ発行日から1ヶ月以内といった期限を設定しておけば、今すぐクリックする必然性が高まると同時に、販促費を抑え、予算組みがしやすくなります。
使用しているシステムによっては、ポイント付与のためには新たにプログラム開発が必要になるかもしれませんが、会員のデータベースを開きポイントを付与するだけですから、それほど難しいものではありません。仮にこれで高額な開発費を要求するようなら業者を見直す好機です。
次は読ませる工夫です。まず困るのが「ネタ」です。メルマガは読者が「共感」しなければ精読率が格段に下がってしまいます。しかし、ご安心を。読者の共感を引き起こしやすい鉄板ネタがあります。「テレビネタ」です。
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■共感するネタは全国区
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共感の前提条件は、相手が知っており、理解できることです。ソーシャルメディアの時代と息巻いてみても、いまだにテレビは娯楽の王様で、国民的コンセンサスはテレビが作ります。つまり、「昨日見たバラエティ」「月九ドラマの感想」「子供が見ていたアニメ」を語るだけで、同じ番組を見たメルマガ読者の「共感」を得やすいのです。「映画」「CM」も同じ効果を期待できます。ただし、
「JCN足立ネタ」
はNGです。JCN足立とは、筆者の地元のケーブルテレビで、この内容を語っても足立区民しか共感できないように、ローカルテレビ局のネタは地元でしか受けません。テレビネタは「全国ネット」のものをお選びください。
どうしてもネタ探しで息詰まるようなら、「100%商品紹介のみのメルマガ」でもOKです。あらかじめ「承諾」を得て送られる通販業者からのメルマガに、お客が期待するのは商品情報やお得情報。いわば新聞に折り込まれる「チラシ」のイメージです。ただし、ここでも読ませる工夫が必要です。それはタイトルです。「件名」で目を惹かなければ、ゴミ箱にぽいされてしまいます。どれだけ、共感できる内容を盛り込み、100円、200円とポイント還元するとしても、まず「開封」してもらわなければ意味がありません。つまりメルマガを活かすも殺すも「タイトル」にあるのです。ここに全精力を傾けてください。「目を惹くタイトルの付け方」については、いずれ機会があれば紹介します。
◆社長のための裏マニュアル
ならんでいる客を大切に
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■追伸、余談
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ソーシャルメディアを特別扱いしたがるのはWeb業界の悪弊です。新しいチャネルを喧伝すれば、
Web業界人の仕事が増えるのです。まるでWeb業界人に金を払うために、ソーシャルメディアに取り組んでいるかのように見える企業も少なくありません。ちなみにこうした指摘をするWeb業界人はわたしぐらい。ソーシャルメディアには向く商売と、向かない商売があるのです。
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