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「上手くいっていない」ことを誰にも相談できない・・・・・自己啓発本には載っていない現場視点の「孤独な社長の裏マニュアル」です。

有限会社アズモード   代表取締役 宮脇 睦

【第39回】ネットで売って損する仕組み。顧客ロイヤリティという視点

2012年04月24日|トラックバック(0)

POINT

『儲けて損するビジネス視点』
『拡散する市場のメリット』
『ロイヤリティという信認』
『可能性はフィフティ・フィフティ』

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■儲けて損するビジネス視点
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 「損して得取れ」とは、一時的に損失に見えても、中長期では利益がでる選択を目指すもので、コンプライアンス違反の公表やリコール、赤字覚悟の特売などもこれに含まれます。換言すれば未来への「投資」です。一方、「得して損する」ということもあります。「安物買いの銭失い」という戒めもあり、実はこちらのほうが深刻です。EC企業ならば「売れて儲かったはずなのに損している」ことがあるのです。その損失は「顧客ロイヤリティ」です。

 「トレーディングカード(トレカ)」をご存じでしょうか。アメリカでは野球やバスケットボールの選手を印刷したカードが主流ですが、日本では「ヴァンガード」や「デュエル・マスターズ」、「遊戯王」などのアニメとタイアップした独自キャラクターが人気です。100円から数百円で販売されるカードは、開封するまで中身がわからず、昭和世代なら「仮面ライダーカード」や「プロ野球カード」のように、希少性の高いカードは「レアカード」と呼ばれ、高値で取引されます。

 トレカをネットで売買している業者は多々あります。その彼らのビジネス構造から「儲けて損する顧客ロイヤリティ」について考えてみます。


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■拡散する市場のメリット
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 トレカビジネスの肝は「買取」にあります。レアカードを買い取れば、高く売ることができ利幅を稼げますし、客寄せパンダの役割も果たしてくれます。課題は安く買い取る(=仕入れ)仕組みです。ネット上でのレアカードの買取は他店との競争から高値で安定します。ネットでは業者間の買い取り価格を簡単に比較できるからです。また、売値と買値の差額で儲ける「セドリ」するセミプロの存在も利幅を薄くする一因です。

 そこで重要となってくるのが「店頭」です。トレカの発送や連絡などの手間を嫌う人は多く、なによりメインターゲットは子供です。振り込みやクレジットカード決済といった、現金以外のやりとりに慣れていないことから「店頭」が支持されるのです。

 レアカードはネットのほうが高く売れる傾向にあります。首都圏近郊在住なら、トレカを取り扱う店は無数にありますが、地方になればその数は減り、地方だからとルーブルとレアルほど貨幣価値が異なることはありません。つまり、需要と供給の関係から高値をつけやすいのです。だとすると「店頭で買って、ネットで売る」のが正解のように見えます。しかし、その選択が「儲けて損する」ことになるのです。


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■ロイヤリティという信認
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 レアカードがなくなると「顧客ロイヤリティ」が低下します。「顧客ロイヤリティ」とは「支持率」と「忠誠心」をかけたニュアンスの言葉で、店舗選択の理由となります。トレカの愛好家にとって、レアカードの有無は店のステータスといっても過言ではありません。レアカードが店頭に輝くステータスの高い店と、クズカード(二束三文のカード)しかないレベルの低い店のどちらに通いたいかは自明です。

 そして悪循環がはじまります。客は客を呼ぶの例えの反対で、閑古鳥の鳴き声はさらに客を遠ざけます。来店者数の減少は、買取機会の減少と同義です。その結果、ネットで売りたいレアカードが集まらなくなるのです。短期的に見れば、ネットで売った方が儲かりますが、「顧客ロイヤリティ」が低下することで、中長期では「得して損する」ことになりかねないのです。

 さらに店頭で集めたレアカードはネットを通じて日本全国にばらまかれます。レアカードを入手したからと、一生手元に残す財力のある子供は少なく、他のレアカードを入手するために手放すことは珍しくありません。手放されたレアカードは同じように高値で販売します。トレカ屋の儲けはこうしたレアカードの「回転率」が支えます。ところが日本各地に売ってしまうと「2回転目以降の利益」が期待できないのです。これは中古商材を扱う通販業者が抱えるジレンマでもあります。中古車販売業も、ネットを通じて地方に販売すると「車検」や「買い換え」といった二次、三次の利益がとれなくなります。


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■可能性はフィフティ・フィフティ
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 「顧客ロイヤリティ」を考える上で、「売れたあと」という視点はとても重要です。一回の取引で考えれば、ネットで売って高い利幅を取るのが賢明な選択です。しかし、地元に環流させる方が「顧客ロイヤリティ」を高め、「将来利益」につながりやすいのです。この概念はトレカや中古車だけに限ったことではありません。

 例えばとても貴重な「限定品」を入手したとします。サイトにアップした時点で完売が約束されたような人気商品です。さて、これをどう売るべきでしょうか。サイトの評判を上げるためと普通に売るのもひとつですし、一回限りの短期的な利益を求めるなら競り上がりを期待して「オークション」という方法もあります。しかし、私ならこうします。

「常連に声をかける」

 いつも多くの商品を買ってくれる常連さんや、永いお付き合いのお得意さんの「顧客ロイヤリティ」を高めることで「将来利益」をより確実にするためにです。オークションでも通常販売でも、それをきっかけに常連になってくれるかもしれません、しかし、ならない可能性も同じ確率で存在します。むしろ貴重な限定品に「ネットで検索」してたどり着いた客は、今後も「ネットで検索」により、地球の裏側のライバル店に「浮気」する可能性の方が高いと考えるのが妥当でしょう。

 もちろん、どちらを優先するかは社長の専権事項です。また状況により正解は異なります。そして「顧客ロイヤリティ」とは無形の資産。目に見えないこの資産の取り扱いを「経営方針」と呼び、これまた社長の専権事項です。

 

◆社長のための裏マニュアル
顧客ロイヤリティが将来利益を生み出す


 

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