Home > 通販支援Blog > EC運営 > 誰も語らない現場の経営論! > 【第60回】送料無料が常識でなくなる時代に向けて

EC運営

誰も語らない現場の経営論!ナビゲータ写真
記事一覧へ

「上手くいっていない」ことを誰にも相談できない・・・・・自己啓発本には載っていない現場視点の「孤独な社長の裏マニュアル」です。

有限会社アズモード   代表取締役 宮脇 睦

【第60回】送料無料が常識でなくなる時代に向けて

2014年12月22日|トラックバック(0)

POINT

『究極のトランザクションコスト』
『同じ競争環境にない』
『デフレ時代からの転換』
『コストとしての見直しを』

──────────────────────
■究極のトランザクションコスト
──────────────────────

 かつて楽天市場の三木谷浩史社長は、竹中平蔵元大臣との雑誌の対談で、ネット通販の到達点を

「トランザクションコストをゼロにする」

 と語っていました。トランザクションコストとは、和訳すれば「取引費用」で、中間マージンなどを指します。
この言葉には語弊があるのは、ネット通販における「トランザクションコスト」はゼロにならないからです。「楽天税」のことではありません。

ネット通販は、その仕組み上、

「配送料」

が、永遠に存在しつづけるからです。

 この指摘に、アマゾンなどを例に挙げ、「送料無料」が常態化しているという反論があるかもしれません。
しかし、諸処の事情から追随したファッション通販「ゾゾタウン」は、無条件の送料無料から既に撤退しており、今後、この流れは加速するでしょう。フランスでは俗に「反アマゾン法」と呼ばれる、書籍の「送料無料」を禁止した法案が可決されていますが、国内では別の理由で困難になるという見立てです。

 そこで今年最後の本稿では、2015年を見越した「送料」について考えてみます。

──────────────────────
■同じ競争環境にない
──────────────────────

 フランスが「反アマゾン法」を可決したのは中小零細の書店を保護するためです。

 日本でも同等の対策を期待する声もありますが、一方、日本では宅配してくれる「書店」は今もあり、きめ細やかなサービスが当たり前の日本では、単純な規制は個人商店の首を絞めることになりかねず、慎重な議論が必要です。

 ちなみに私が小学生時代、近所の書店が発売日に「学年誌」を届けてくれ、家人がいなければ玄関先に置いていってくれました。通りに面して放置された商品が、一度も盗難にあわなかったのは「昭和時代」だったからでしょうか。

 「送料無料」といっても、通販業者ならご存知のように、宅配便の業者に送料を支払っています。
この「送料」は平等ではありません。出荷数の多い企業は割り引かれ、反対は割高になり、一般の利用者は「定価」です。トラックにドライバー、一時預かりのための倉庫を持たなければならい物流業の性質上、定期的な発注は経営を安定させてくれることから、多少の値引きに応じるからです。あえて社名は出しませんが、「大手」になればなるほど有利な配送料になっているということです。

 仮に「反アマゾン法」が日本で可決されれば、同じ競争環境に近づく、中小零細のネット通販業者への恩恵があるかも知れませんが、規制の前に市場原理が流れを変え始めています

──────────────────────
■デフレ時代からの転換
──────────────────────

 佐川急便が価格交渉で決裂し、大口契約を失いました。その結果、取り扱い荷物個数は大幅減に追い込まれましたが、利益率は改善されました。価格交渉は経営判断で、規模が縮小することになっても、死ぬほど忙しくて赤字より、それなりに働いて黒字を望むのは健全な姿です。少子高齢化により市場規模が小さくなる日本においての、賢明な選択かもしれません。

 短期的に見ても、配送料の見直しは喫緊の課題です。ガソリン代の高騰はもちろん、「人件費」の高止まりが経営に影を落としているからです。

 宅配便が成立するのは「都市部」の収益によります。「日本全国配送」という品質のために、地方便は重要ですが、単純な「損益」からみれば、1件の配送のために2トン車を30分走らせることもある地方と、30分で10件以上、配達できることもある都会との効率の違いは歴然です。

 ところがこの都市部では「人手」の確保が難しくなっています。詳細は割愛しますが、時給千円ぐらいのアルバイトなら、もっと安全で楽な仕事は掃いて捨てるほどあり、近所にある暇そうなパチンコ屋でも時給1300円です。こうした「人件費」の高騰はいずれ送料に転嫁されます。すると「送料無料」が困難になるのは想定の範囲内です。

──────────────────────
■コストとしての見直しを
──────────────────────

 そこで、いまから「脱送料無料」を考えておきます。実際には大手企業が「送料無料」を打ち出しているあいだ、この完全撤回は難しいことでしょうが、「利益」を軸に考えれば対応策が見えてきます

 もっとも簡単な方法は「最低購入額の導入、変更」です。大半の通販業者は、購入金額に応じて「送料無料」にしていますが、この設定を見直します。むしろここで、わずかながらも「利益」がでるようにするのも一手です。同業者の多くが、大手通販と同様の送料設定をしているなか、とあるサイトでは1200円の商品のために、800円の代引き手数料を支払う客は少なくありません。このサイトは、同業者が5千円以上で無料としているなか、「1万円」に設定しています。横並びの料金設定が、いつも正しいとは限りません。

 配送方法の見直しも、うっかりと見落としがちなポイントです。安価なイメージの強いメール便より、「定形外郵便」のほうが安いこともあります

 さらに「毎日発送」というルーチンを、「毎週金曜日発送」とすることで、省コスト化を目指すのも一手です。通販事業者の経営を苦しめるのは実は「少額利用者」。「送料」には、自社内の「人件費」も含まれています。こうした総合的な「送料」を、疎かにしている通販サイトは少なくありません。そしてその自社の人件費も、今後上昇する可能性が高いのです。今後「高騰」が予想される「送料」の見直し、再設定は急務と脅し、今年は筆を置きます。よいお年をお迎えください。

◆社長のための裏マニュアル
「送料高騰」への対応は、オペレーションから考える


キンドルストアで絶賛販売中!

『食べログ化する政治?ネット世論と幼児化と山本太郎?』
http://www.as-mode.com/tabelog/index.html

『完全! ネット選挙マニュアル』
http://www.as-mode.com/net-election/index.html

 

トラックバック(0)

・このブログ記事を参照しているブログ一覧:

【第60回】送料無料が常識でなくなる時代に向けて


・このブログ記事に対するトラックバックURL:

https://www.scroll360.jp/mt/mt-tb.cgi/2079

リピート通販360°ロジスティクス

コンビニ受取サービス

Home > 通販支援Blog > EC運営 > 誰も語らない現場の経営論! > 【第60回】送料無料が常識でなくなる時代に向けて