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長年流通、特に通販やコンタクトセンターを専門に取材活動を続けてきた実績より、市場動向や「顧客満足」に向けた企業の活動など事例を中心にお伝えしていきます。

JDM News.net   代表  流通ジャーナリスト 塩田信夫

【第25回】「常に買い手(消費者)を特定する」発想が大事

2010年10月26日|トラックバック(0)

POINT

『デロンギ社と「通販生活」の意外な出会い』
『「オイルヒータ」ヒットの教訓に学ぶ』

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■デロンギ社と「通販生活」の意外な出会い
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先日、朝日新聞の日曜版でイタリアの家電メーカー、「デロンギ」のジュゼッペ・デロンギ会長の記事を見つけた。電気で温めたオイルを金属パネルで循環させ、室内をを温める同社のオイルヒーターは、日本でも人気商品である。デロンギ会長はその生みの親である。

記事によれば現在、同商品の年間販売台数は66カ国で約230万台。日本では85年から販売され、人気の定番商品になっていると言う。

実は同社と日本の通販市場の間には大変な関わりがあるのだ。私の個人的な感想では日本の通販市場の成長に大きな影響を及ぼした会社であり、商品と言ってもいいだろう。

デロンギ会長の商品に対するこだわり方を記事中から紹介してみる。同社の全自動コーヒーメーカーの場合である。ある機種の試作品100台を社内のいたるところに設置し、社員に試飲させ2年間様子を見たと言う。しかし、納得がいかないという理由で設計からやり直し、結局販売まで5年もかかったという。そのこだわりは同社の人気商品にも現れている。発売から35年になるオイルヒーターも常に改良が加えられて、多くの消費者の信頼と支持を得ている。

本題に入る。実は同社のオイルヒーターの日本国内での販売に大きな影響を与えたのが、カタログハウスの会員制通販情報誌「通販生活」なのだ。同誌のヒット商品であり、同誌の現在に至る商品企画の手法を確立させたきっかけともなった商品であるという。同商品のヒットの要因については、以前このコラムでも紹介したが、あらためて「通販生活」の企画力の基本ともいえる考え方の一端を紹介してみたい。


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■「オイルヒータ」ヒットの教訓に学ぶ
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「通販生活」創刊時、「脱気保存器」や「万能スライサー」「業務用ジューサー」「室内干し」といったヒット商品があったものの、売れては消える通販ならではの「一発屋的商品」に終わっていた。そこで出会ったのがデロンギ社のオイルヒータだった。85年当時は「構造上あまり暖かくならない暖房機」なので、今ひとつ国内では売れていなかったという。いわゆる代理店のお荷物商品でもあったのだ。欧米では補助暖房機として認知されていても日本市場では見向きもされていなかったようだ。生活文化の違いもあったのだ。「通販生活」でも取り上げた当初はさっぱり売れなかったと言う。

その商品がなぜ「人気の定番商品」に生まれ変わったのか。一言で言えばこれまでの売り方をガラリ転換したのだ。補助暖房機という商品のコンセプトを「寝室専用の主暖房機」として販売したのだ。当時の「通販生活」の商品コピーは「寝室に置いておくと、ひと晩中ホテルに泊まっているような快適さ」とある。

なるほど、一流ホテルはセントラルヒーティング(スチーム暖房)で室温は一定、暑苦しくもなく快適だ。商品の特徴がイメージしやすいコピーである。

室温25度に設定し、つけっ放しにしておくと、25度を超えたところで自動的にスイッチが切れ、室温が少し下がったところで自動的にスイッチが入る仕組みになっている。主暖房機とは利用目的の違いを前面に出したのだ。「通販生活」的表現を借りるなら「使用価値を変えて伝える」というわけである。

主暖房機なら「あまり暖かくならない」というデメリットも「穏やかな暖かさで眠れる」となる。温風を出さないので「寝ていてものどが痛くならない」という具合に、寝室用暖房機として商品の特性を表現することでこの商品の本来の特性がイメージできるようになる。

今でこそ通販の売り方の基本となっているが、「購入者(消費者)を特定する」手法なのだ。この場合でいえば、「寝室専用の暖房機を欲しがっている人」に対するアプローチである。「通販生活」の企画担当者が常々言うが、「購入者のイメージを具体的に特定する」のが商品企画のコツである。

言い方を変えるなら、商品の利用価値や使用目的は売り手によっても変わるものであり、創造していくものであるという考え方である。それが「通販生活」の企画力の妙となっているのだ。

新聞紙上でも紹介されていたが、「通販生活」でははじめて扱った85年以降、25年経った今でも同誌の定番ヒット商品である。同誌の「ヒット商品であるよりロングセラー商品」を代表するものであり、同誌の通販コンセプトの方向性を定着させるきっかけともなった商品である。

 

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